1.HSP
HSPとはHighly Sensitive Personの頭文字を取った言葉で「視覚や聴覚などの感覚が敏感で、非常に感受性が豊かといった特徴を生得的に持っている人」のこと。
HSPの人には、「ものごとを深く考える」、「刺激を受けやすい」、「感情の面で反応しやすく共感しやすい」、「かすかな刺激に対する感受性が強い」という4つの特徴があり、この4つの特徴全てに当てはまる人をHSPであると定義されている。HSPの割合は全人口の15~20%と言われているため、約5人に1人がHSPであると考えられている。
また、HSPのなかにはもうひとつ、HSS型のHSPというものがあります。HSSとは、ハイ・センセーション・シーキングの頭文字を取った言葉で、「新しいことが知りたい、新しいことに関心があり、新たな情報を収集するために検索したり、調べたり、外に出て人と関わる人」のこと。つまり、新しい情報を求めたり外の世界に好奇心があって積極的に外出するものの、その外の世界で受ける刺激に対して敏感になり、打たれ弱くて傷つきやすい。HSS型の方は人口の約6%ほどいると考えられている。
また子どもの場合は、HSCと言われ(「Highly Sensitive Child」の略称)、日本語では「非常に敏感な子」と紹介されている。5人に1人の割合で存在するとされ、音や匂いに敏感で、にぎやかな場所や集団行動が苦手といった傾向があり、学校生活に馴染めずに不登校などの原因になるとも言われている。
2.発達検査(心理検査)
心理検査とは、広く知能水準や発達水準、パーソナリティを評価するための検査である。
検査の種類は、知能検査(ビネー式、WAIS,WISC),発達検査(新版K式など)、人格検査(質問紙法=MMPI、Y-G、CMIなどや作業検査法、投影法=ロールシャッハテスト、SCT、TATなど)がある。検査結果は、その後の治療や支援計画立てるためなどに利用される。
・WISC-Ⅳ 知能検査
適用年齢:5歳0ヶ月~16歳11ヶ月
全15の下位検査(基本検査:10、補助検査:5)で構成されており、10の基本検査を実施することで、5つの合成得点(全検査IQ、4つの指標得点:言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標)が算出される。このように、全般的なIQだけでなく、それらの合成得点から個人内での能力のばらつきがわかりやすいということがWISCの特徴。これにより、支援が必要な領域を明らかにしたり、強みを把握することができる。これは、支援計画を立てるときや、日々の生活をサポートする方法を考える際に活用することがでる。
・田中ビネー知能検査V
適用年齢:2歳~成人
2歳~14歳は知能指数(IQ)と精神年齢(MA)が算出されます。14歳以上は偏差知能指数(DIQ)で算出し、「結晶性領域」「流動性領域」「記憶領域」「論理推理領域」の4領域で表わせられる。特徴として、問題が年齢尺度によって構成されているため、通常の発達水準と比較することが容易になっている点があげられる。
各問題は、「思考」「言語」「記憶」「数量」「知覚」などの問題で構成され、子どもが本来の力を発揮しやすいよう、日常場面に即した問題で構成されている。また、問題の通過・不通過以外にも、検査時の行動観察の記録を記入するアセスメントシートがあり、点数からよみとりにくい子どもの様子も把握できるようになっている。
発達検査は、公的病院や民間病院などで受けることができるほか、児童発達支援センターなどの機関でも受けることもできる。
3.療育(発達支援・放課後等デイサービス)
療育とは、障がいのある子どもやその可能性のある子どもに対し、個々の発達の状態や障がい特性に応じて、現在の困りごとの解決と、将来の自立と社会参加を目指し支援をすること。
子どもの現在の困りごとや発達の状況、障がい特性に応じて、個別の支援計画を作成し、支援を進めていく。
療育(発達支援)を担っている機関としては、児童福祉法に基づく児童発達支援センターや児童発達支援事業所がある。これらの支援施設は幼児(0~6歳)が対象となっており、集団での支援や個別での支援がおこなわれている。また、小学生以上の児童生徒は、放課後等デイサービスの対象となる。
自治体や運営している機関により、集団や個別などの支援形態、どのような支援が受けられるのかが異なる。
児童発達支援事業所は、「療育手帳」(医師の診断により等級を定める障害手帳)がないと利用できないと認識している方が多いが、行政の支援を受けながらこのような施設を利用するために必要なのは、「受給者証」という許可証で、「療育手帳(障害者手帳)」とは別物である。
〇児童発達支援・放課後等デイサービス
多くの方が利用している療育施設の一つに、児童発達支援事業「児童発達支援・放課後等デイサービス」があります。障がいがあったり、発達に特性のある子のための福祉サービスです。児童発達支援は、未就学児対象で、幼児教育・保育の無償化により満3歳になったあとの4月1日~就学までは無料で通えます。放課後等デイサービスは、小学生・中学生・高校生対象で、授業終了後や長期休暇中に利用できます。市区町村発行の「通所受給者証」(受給者証)を取得すると、公的補助が受けられ、利用料金の1割が自己負担となります。詳しくは自治体の障がい福祉課にお問い合わせください。
〇受給者証
療育施設や放課後デイサービスに通所するための許可証
「受給者証」を取得することにより、行政からの給付金を受けながら福祉サービス(発達支援や放課後デイサービスなど)を利用できる。
取得については、自治体によって手続きが異なる場合があるので、自治体の担当窓口(市役所障害福祉課、保健センター等)での確認が必要。
「受給者証」は1年間の更新制のため、療育が必要なくなれば返却もしくは更新をしなければ終了となる。更新するか否か、1年ごとに子どもの様子を見ながら判断していくシステムとなっている。
〇療育手帳
医師の診断により等級を定める障害者手帳
4.別室登校
在籍学級の教室ではなく、保健室や相談室などの在籍学級以外の別の部屋(別室)を利用して過ごすこと。
教室で過ごしにくくなった子どもが、落ち着くことができる場所として利用したり、それまで不登校であった子どもが登校を始めたときに教室へ入る準備段階として利用したりと、様々な理由、
様々な状況で利用されている。
2021年3月現在、すべての学校に常設されているわけではなく、一時的に使用していない教室を利用したり、設置されていない学校もある。
別室の担当も、専任の指導者(元教諭や学生など様々)がいる場合とそうでない場合があり、予算・人材・場所など多くの課題がある状況である。
5.取り出し授業
取り出し授業とは、通常の教室以外で1対1または1対2等少人数で教諭と授業を行う事を指してそう呼ばれている。
取り出し授業の対象は、教室に入れない、大人数では落ち着いて授業を受けられない、授業の速度について行かれない等に直面している児童生徒で、担当する教諭は、担任ではない教諭、児童支援専任のような役職のある教諭など様々である。
学校の状況やマンパワーなどにより、取り出しの頻度などについては学校側と相談の上決まる。
また、地域などにより申請が必要な場合もある。
6.スクールカウンセラー
近年のいじめの深刻化や不登校児童生徒の増加など、児童生徒の心の在り様と関わる様々な問題が生じていることを背景として、児童生徒や保護者の抱える悩みを受け止め、学校におけるカウンセリング機能の充実を図るために配置された、臨床心理に専門的な知識・経験を有する学校外の専門家。
スクールカウンセラーは非常勤職員で、相談体制は1校あたり平均週1回、4~8時間といった学校が多い。
7.特別支援教育コーディネーター
特別支援教育コーディネーターは、発達障害者の特別支援をするための教育機関や医療機関への連携、その者の関係者(家族など)への相談窓口を行う専門職を担う教員のこと。
学校によっては、担任を持っている教諭が担うことがあり、その場合、かなりの業務負担となるため、本来の役割を十分果たせない場合がある。また、その存在自体が保護者に周知されていないケースもある。
8.保育所等訪問支援制度
障害者自立支援法や障害者総合支援法、児童福祉法に基づき、発達に気がかりなところがある児童への支援事業として、児童発達支援の専門スタッフが幼稚園や保育園・学校に訪問し、集団生活に加わりながら、児童本人への「直接支援」と該当施設のスタッフへ「間接支援」を提供するサービスである。
通所受給者証により、サービス利用料金のうち9割が給付対象となる。
9.通級
通級指導教室の略称。
小・中学校の通常学級に籍をおいている比較的障害の程度が軽い子どもが、一人ひとりの障害に合わせた個別の指導を受ける教室のこと。週に何時間か、授業中または放課後、通級による指導を受ける。
10.本田秀夫先生
精神科医。信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授。
附属病院こどものこころ診療部長。
発達障害の早期発見、早期介入から成人期の支援まで、あらゆるライフステージにわたる臨床経験をもつ発達障害の専門家。著書多数。
11.極低出生体重児、超低出生体重児
出生時体重により以下のように分類される。体の機能に未熟な点が多く、免疫力も弱いため、様々な病気を併発する合併症が起こりやすい。小さく出生するほど、さらにその確率が高まるため、十分に発達するまで新生児集中治療施設(NICU)などでの養育・治療が必要となる。
低出生体重児 出生体重が2,500g未満
極低出生体重児 出生体重が1,500g未満
超低出生体重児 出生体重が1,000g未満